館勝生展 Katsuo Tachi
2012年10月12日(金)-11月4日(日)
11:00-19:00 会期中無休
この度、Yoshimi Artsでは「館勝生展」を開催致します。
芸術とは仮説ではありません。テクストやそれをめぐる所作の在り方は、膨大なヴァージョンがあり、絶対的に情報に還元できない、全体化できない、形式化できない、記号化も出来ないのではないでしょうか。芸術や社会を全体化して、上から眺める構造論的・社会学的視点では、世界や人間を理解できないと言えるでしょう。
芸術は、人間が誕生してから何万年と続いてきました。絵画を描く事は、人間が世界や人間を知る為に必要としてきた行為で、現在も今後も人間が存在する限り続いて行くものだと思います。絵画を描く作家とは、絵を描く才能を生まれた時から持ち合わせていて、理屈抜きに絵を描く事が好きな人達です。その中に、究極に絵を描く為の高い身体性を持つ人がいます。更に、芸術的態度を持って描き続けるという物理的な行為で、究極にまで到達出来る人がいます。究極まで到達し、初めて作家は作品を俯瞰的に見る事が出来、言葉で自身の作品を確認出来る様になるのです。そこで発せられる言葉は、極めてありきたりで飾らないが、尊く響きます。そこに到達した物が芸術であり、到達する為には知的創造力、究極の身体能力、芸術的態度が必要だと考えます。
その仮定において館勝生は、芸術作品を制作する芸術家です。2000年に入ってからの作品は、得体の知れない生命体のような塊が激しく動いています。しかし、画面全体で見た時、その塊が、静止しているかスローモーションで動いているようにも見えます。激しく動く塊が、画面の中で静止するかスローモーションで動くことにより、塊は見る者と対面し、または向き合い、時間の経過と共に見る者に寄り添って行きます。見る者は画面の中で繰り広がる時間の情景に感情移入し、そこに情感が生まれます。その表現は、館勝生の一つの到達点ではないかと思います。
館勝生は1964年に生まれ、2009年1月に44歳の若さで逝去しました。今展では、最晩年である2008年の作品4点を展示致します。
館勝生の作品との出会い、展覧会までの経緯
今年の初めに愛知県美術館へポロック展を見に行った時、常設展示の表現主義とアンフォルメルという括りの中で、館勝生さんの作品に出会いました。私が作品を見る時は、自分の身体がどう反応するかだけを頼りにしていて、身体が反応したなら頭では理解していなくても、その作品を扱うと決めています。館勝生さんの作品を目の前に、身体が反応し痺れて動く事がしばらく出来ませんでした。その後、館さんの経歴や何処のギャラリーが扱っているか等の情報を調べていた所、館勝生さんを生前から扱っておられるギャラリー白の吉澤敬子さんが、たまたま弊ギャラリーにお越しになられました。吉澤さんに、館勝生さんの作品に対する気持ちを率直にお伝えすると、ギャラリーにある全ての作品を見せて下さり、また、コレクターのお宅で初期から晩年までの何十点という作品も拝見させて下さいました。
今回、Yoshimi Artsで館勝生展を開催出来る幸せを感じ、ギャラリー白の吉澤敬子さんをはじめ関係者の皆様に感謝申し上げます。
Yoshimi Arts
稲葉征夫
*画像:「December. 10. 2008」 oil on canvas 910×910mm
作家 略歴
館勝生 Katsuo Tachi |
1964 |
三重県生まれ |
1987 |
大阪芸術大学芸術学部美術学科卒業 |
2009 |
44歳で死去 |
個展 |
1985 |
ギャラリー白(大阪)〈’87~’93,’95~'09〉 |
1991 |
永井祥子ギャラリーSOKO(東京) |
1992 |
ギャラリーOH(一宮) |
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ギャラリーVIEW(大阪) |
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ギャラリープランタン(松山) |
1993 |
細見画廊(東京) |
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ギャラリーαM(東京) |
1994 |
神戸西武百貨店(神戸) |
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イムラアートギャラリー(京都) |
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ギャラリーFUTABA(名古屋) |
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The Ufer! Gallery(京都) |
1996 |
第一生命南ギャラリー(東京)〈’03〉 |
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ギャラリーGORO(大阪) |
1997 |
Oギャラリー(東京)〈~’03,05~’09〉 |
1998 |
CTIウインドウギャラリー(東京) |
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原美術館-ハラドキュメンツ5(東京) |
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ガレリアフィナルテ(名古屋)〈~’01,’03,’06,’09〉 |
1999 |
エスプリヌーボー(岡山)〈~’01,’03,’04〉 |
2001 |
三重県立美術館(三重) |
2002 |
ギャラリー千(大阪) |
2006 |
高島屋アートサロン(大阪) |
2008 |
甲南大学ギャルリーパンセ(神戸) |
グループ展 |
1986 |
IMPACT ART(韓国美術館・ソウル) |
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多様性の構築(石橋美術館・久留米) |
1987 |
私的な精神(大阪府立現代美術センター・大阪) |
1991 |
いま絵画は-OSAKA(大阪府立現代美術センター・大阪) |
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TAKE ART COLLECTION(スパイラル・東京) |
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大阪現代アートフェア(大阪府立現代美術センター・大阪) |
1992 |
筆あとの誘惑(京都市美術館・京都) |
1994 |
現代美術の展望-VOCA’94(上野の森美術館・東京) |
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アートナウ’94-啓示と持続(兵庫県立近代美術館・神戸) |
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現代美術の断面(現代ギャラリー・ソウル) |
1995 |
済州プレビエンナーレ’95(済州アートセンター・韓国) |
1996 |
美の予感(高島屋美術画廊・東京/横浜/京都/大阪) |
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新鋭美術選抜展(京都市美術館・京都) |
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SPIRIT & ENERGY(ワールドワークスファインアーツ・カルフォルニア) |
1997 |
現代美術の展望-VOCA’97(上野の森美術館・東京) |
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CONTEMPLATIONS(ワールドワークスファインアーツ・カルフォルニア) |
1998 |
新鋭美術選抜展(京都市美術館・京都) |
2001 |
収蔵品展-新しいコレクションとシャガール全点公開(三重県立美術館・三重) |
2003 |
あるサラリーマン・コレクションの軌跡-戦後日本美術の場所 |
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(周南市美術博物館・山口、三鷹市美術ギャラリー・東京、福井県立美術館・福井) |
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京都・洋画の現在-85人の視点(京都文化博物館・京都) |
2004 |
第一生命ギャラリー所蔵作品展(第一生命南ギャラリー・東京) |
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VOCA1994~2003-10年の受賞作品展(大原美術館分館・岡山) |
2005 |
第一生命所蔵作品展(第一生命南ギャラリー・東京) |
2006 |
VOCA展に映し出された現代-いまいるところ/いまいるわたし(宇都宮美術館・栃木) |
2007 |
第一生命所蔵作品展(第一生命南ギャラリー・東京) |
2009 |
第28回損保ジャパン美術財団「選抜奨励展」(損保ジャパン東郷青児美術館・東京) |
2010 |
円と方 京都市美術館コレクション展第1期(京都市美術館・京都/愛知県美術館・愛知) |
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『ひろがるアート~現代美術入門篇~愛知・岐阜・三重 三重県立美術館共同企画』 |
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(三重県立美術館・三重) |
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コレクション2 近年の収蔵品を中心に(国立国際美術館・大阪) |
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碧南市藤井逹吉現代美術館所蔵作品展 鉄斎から現代まで(碧南市藤井逹吉美術館・愛知) |
2011 |
コレクション展 2011-春(和歌山県立近代美術館・和歌山) |
受賞歴 |
1994 |
現代美術の展望 VOCA展’94 奨励賞 |
コレクション |
三重県立美術館、第一生命保険相互会社、国立国際美術館、甲南大学、愛知県美術館、
和歌山県立近代美術館、碧南市藤井達吉現代美術館、京都市美術館 |
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