
Insight 34 "二重性/duality"
2025年9月13日(土)-10月5日(日)
12:00-19:00 (日 -17:00)
月・火 休
Yoshimi Arts
出品作品(作家名)|上出惠悟 / 笹川治子 / 西山美なコ
この度、Yoshimi Artsでは、展覧会「Insight 34」を開催いたします。
「Insight」は、テーマに沿って、取扱作家の作品を中心に展開する展覧会シリーズです。34回目となる本展は "二重性/duality " をテーマと致します。
上出恵悟は、2018年に「磁彫」という、果物や身近なものをモチーフに彫刻刀で成形した磁土の塊を焼成した作品を制作し、2019年には、約150年続く自身の窯元がつくる湯呑や茶碗などの製品をモチーフにした磁土の塊を高度な温度調整により焼成した作品「静物」を、「第14回パラミタ陶芸大賞展」(パラミタミュージアム/三重)や個展「静物/Still Life」(Yoshimi Arts/大阪)で発表しました。また、2024年に「B-P-F」を発表し、窯元の製品を重ね合わせ、釉薬を施し焼成することで接着され一体化した彫刻作品を制作しています。これらは陶芸の歴史において、成形された磁土の塊を高い焼成技術で割れることなく成立させた稀有な作品群だと思います。本展では、弊廊で初展示となる磁彫作品と、それらの彫刻的な作品に繋がると思われる2013年に制作した作品を展示いたします。また、上出は現在、パナソニック汐留美術館で9月15日(月・祝)まで開催の「ピクチャレスク陶芸 アートを楽しむやきもの―「民藝」から現代まで」に作品を出品しております。
笹川治子は、先の「藤田嗣治×国吉康雄:二人のパラレル・キャリア -百年目の再会」(兵庫県立美術館、2025年)において、藤田が1949年にニューヨークの画廊で行った個展を現地に赴き資料等から調査して、映像《眼差しの復元 1949年藤田嗣治個展再現プロジェクト》を制作しましたが、笹川がこれまで扱ってきたテーマの一つに戦争があります。祖父の戦争体験を基に戦争に纏わる一連の作品を制作し、その後表現者がどのように戦争に関わったのかというテーマでも作品を発表してきました。第二次世界大戦時に、作家は絵具が手に入らなくて制作出来なくなり、「戦争記録画」を描いた作家達は戦争を鼓舞する絵を描くという使命と共に、制作出来る喜びや、他の作家よりも良い絵(戦争記録画)を描きたいというような一面もあったといいます。本展では、2014年より笹川が描き続けている作品「記録画」などを展示いたします。
西山美なコは、1990年代、少女たちが好むと同時に性風俗の象徴でもあるピンクの持つ二面性を表現した作品を制作しました。西山は、1980年代に女性作家が活躍した「美術の超少女たち」というムーブメントに触発されたと語っております。本展では、今年アトリエで発見された1980年代の作品を展示いたします。また、国立新美術館で9月3日(水)から開催の「時代のプリズム:日本で生まれた美術表現 1989-2010」で、《ザ・ピんくはうす》(金沢21世紀美術館蔵、1991/2006年)が出品されています。
画像|笹川治子 《記録画21》 2023 油彩、キャンバス 227×158mm(SM)
作家プロフィール |
上出惠悟 >>
1981年石川県生まれ・在住。東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻 卒業。
近年の主な展覧会として、個展に瓷板画展Ⅳ「SYNERGY」(t.gallery/東京、2024)、上出惠悟 水墨画展「WINDOWS」(東福寺塔頭 光明院/京都、2024)、「新蕉」(Yoshimi Arts、2022)など。グループ展に、「ピクチャレスク陶芸 アートを楽しむやきもの―「民藝」から現代まで」(パナソニック汐留美術館、2024)、「開館15周年記念 現在地:未来の地図を描くために[2]前期」(金沢21世紀美術館、2019)、「第14回パラミタ陶芸大賞展」(パラミタミュージアム、2019)など。
笹川治子 >>
1983年大阪府生まれ、現在茨城県在住。東京藝術大学 大学院美術研究科先端芸術表現領域博士課程 修了。
近年の主な展覧会として、個展「笹川治子<中村研一作品とともに> 届けられた色」(小金井市立はけの森美術館/東京、2023)、「リコレクション―ベニヤの魚 Recollection: the plywood fish」(Yoshimi Arts/大阪、2017)。グループ展に「DOMANI・明日展 2021 文化庁新進芸術家海外研修制度の作家たち」(国立新美術館/東京、2021)、「城市震盪 City Flip-Flop」(C-LAB/台北、2019)等。
西山美なコ >>
1965年兵庫県生まれ・在住。京都市立芸術大学大学院美術研究科彫刻専攻 修了。
近年の主な展覧会として、個展「MINAKO NISHIYAMA / boudoir...」(Yoshimi Arts/大阪、2021)、「西山美なコ 90's ★キラキラおめめ★」(Yoshimi Arts、2018)。グループ展に「コレクション1 80/90/00/10」(国立国際美術館/大阪、2023)、「2023年コレクション展Ⅰ 《特集1》虚実のあわい」(兵庫県立美術館/兵庫、2023)、「フェミニズムズ / FEMINISMS」(金沢21世紀美術館/石川、2021)等。
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