Insight 32 "線/line"

 
 

Yoshimi Arts
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Insight 32 "線/line"

2024年11月6日(水)-24日(日)
12:00-19:00 (日 -17:00)
月・火 休
Yoshimi Arts

出品作品(作家名)|
泉茂 / 上出惠悟 / ローター・ゲッツ / 笹川治子 / 杉山卓朗 / 館勝生 / 西山美なコ / 矢野知道人(橋村) / 山本志帆

 

この度、Yoshimi Artsでは、展覧会「Insight 32」を開催致します。
「Insight」は、テーマに沿って、取扱作家の作品を中心に展開する展覧会シリーズです。32回目となる本展は "線/line" をテーマと致します。
日本画では、紙に墨で線を描き、その線に水を垂らすと滲み、枝から葉が生えるように面になります。

泉茂は、1960年代のある時期に何百枚というドローイングを描いており、一見すると一筆で描かれているように見える作品はとても複雑な技法で描かれています。それらのドローイングは版画やタブローの基となっています。
上出恵悟は、2015年から熊に関心を寄せ「山の熊か、熊の山か」と題した個展を同年に行っています。熊は古来より世界中に生息していて、近年山と人里の境界線を越えて度々現れています。上出は、作家と150年続く窯の経営者、デザイナーと様々な仕事をしています。それぞれの価値観に合った思考で取り組む必要があり、常にその境界を行ったり来たりしていることは、それぞれに対する純粋性が保てないのではないかと考えるようになり、その昔あの世とこの世を行き来するマレビト、異界の神として祀られていた熊に自身を重ねるようになっていきました。《大鉢 祥瑞文》は窯の職人が描いた祥瑞文様の大皿に、上出が熊の気持ちになり引っ掻き傷を入れた作品です。
ローター・ゲッツは、ドイツ出身でロンドンにて学びました。ドローイングやペインティングから壁画やサイトスペシフィックなインスタレーションまで、さまざまな活動をヨーロッパで展開しています。現在、イギリスのイーストボーンにあり、2023年ターナー賞が開催されたミュージアム・Towner Eastbourneの外壁を鮮やかな色彩で覆っているのを見ることが出来ます。
笹川治子の映像作品《Processing》は、コロナ禍に制作した作品です。標準的な世界史の本に書かれているトピックをメモするという作業を紀元前何万年から現代まで行い、その集積の全てを重ねてみるとグロテスクでもあり、細胞のようにも見えたところから着想を得た作品です。
杉山卓朗は、2021年弊廊とthe three konohanaで共催した「2つの時代の平面・絵画表現-泉茂と6名の現代作家展」に参加しました。シンプルな幾何学的な形をフリーハンドにより描き、均一でフラットな画面を構成しています。
館勝生の作品《let your laughing be turned to sorrow and your enjoyment to dejection》はキャンバスに油絵具で描かれています。この作品以前は虫を半具象で描いていましたが、90年代後半に虫が解体されそれぞれのパーツが独立して構造が前景化してきます。また、日本画のように線と滲んだ面が描かれると同時に空間が出現して、西洋の抽象画とは一線を画す画面になっています。
西山美なコは、90年代少女漫画を援用して作品を制作した最初の世代の作家です。殆どの作品は、綿密な下絵を何枚も作成して制作されています。《エ♥リ♥カ》のエスキースは、制作の一端をご覧いただけることになるでしょう。
矢野知道人は、大阪を代表する近代の南画作家です。明治以前日本の文化は主に中国に影響を受けていましたが、明治以降西欧化により社会と生活スタイルの変化があり、戦後一気に加速していきました。文化は、社会や人々の生活に支えられていると言えます。ほとんど描かれなくなった南画の掛軸《松鶴瑞朝》を展示致します。
山本志帆は、日本画が殆ど自然由来の素材で造られていることに着目し、循環をテーマに作品を一度分解して素材に戻しその素材を用いて作品を制作致しました。《山径》は、自身の家の裏山に住む猪が歩く道の軌跡をスマートフォンのドローイングアプリに、指で獣道のラインを描画して記録しました。その軌跡を裏山の土を混ぜた岩絵具で和紙に描いています。

本展では、絵画、磁器、映像と様々なメディアによる9名の作家の作品から、描く線について考察する機会にしたいと考えています。

 

画像|ローター・ゲッツ 《Pas de Trois (Black III)》 2016 鉛筆、色鉛筆、紙 29.7×21cm

 

作家プロフィール |

泉茂 >>
1922年大阪府生まれ。大阪市立工芸学校図案科 卒業。瑛九らと1951年に結成した「デモクラート美術家協会」で活動。同会解散後、1959年から10年間にわたりニューヨークとパリに滞在。帰国後大阪芸術大学の教授に就き、後進の作家を多く輩出した。1995年逝去。
和歌山県立近代美術館、国立国際美術館、パリ市立近代美術館、ニューヨーク近代美術館など、国内外の美術館に多数作品を収蔵。
近年の主な個展として、「泉茂 1950s 陽はまた昇る」(市立伊丹ミュージアム、2024)、「Shigeru Izumi Entrusted: New York Paintings, 1959-1962」(Microscope Gallery/ニューヨーク、2024)、「泉茂 ハンサムな絵のつくりかた」(和歌山県立近代美術館、2017)等。

上出惠悟 >>
1981年石川県生まれ・在住。東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻 卒業。
近年の主な展覧会として、個展に上出惠悟 水墨画展 「WINDOWS」(東福寺塔頭 光明院/京都)、「上出 惠悟展 IZURA」(東京藝術大学 藝大アートプラザ/東京)、「新蕉」(松坂屋名古屋店 美術画廊/名古屋、Yoshimi Arts/大阪、2022)。 グループ展に「開館15周年記念 現在地:未来の地図を描くために [2] 」(金沢21世紀美術館/石川、2019)、「第14回パラミタ陶芸大賞展」(パラミタミュージアム/三重、2019)等。

ローター・ゲッツ >>
1963年ドイツ・ギュンツブルクに生まれ。ヴッパータール大学 修士 (美学)、ロイヤル・カレッジ・オブ・アート 修士 (絵画)。
近年の主な展覧会として、個展「The Four Seasons」(domobaal/ロンドン、2023)、「Volcano」(Petra Rinck Galerie/デュッセルドルフ、2023)。グループ展に「Contemporary British Painting Prize 2002」(BayArt Gallery/カーディフ、Thames-Side Studios Gallery/ロンドン、Huddersfield Art Gallery Curates at Yorkshire Artspace/シェフィールド、2024-2025)、「Hospital Rooms」(auser & Wirth/ロンドン、2022)等。

笹川治子 >>
1983年大阪府生まれ、現在茨城県在住。東京藝術大学 大学院美術研究科先端芸術表現領域博士課程 修了。
近年の主な展覧会として、個展「笹川治子<中村研一作品とともに> 届けられた色」(小金井市立はけの森美術館/東京、2023)、「リコレクション―ベニヤの魚 Recollection: the plywood fish」(Yoshimi Arts/大阪、2017)。グループ展に「DOMANI・明日展 2021 文化庁新進芸術家海外研修制度の作家たち」(国立新美術館/東京、2021)、「城市震盪 City Flip-Flop」(C-LAB/台北、2019)等。

杉山卓朗
1983年千葉県生まれ、現在兵庫県在住。大阪美術専門学校研究科 修了。
近年の主な展覧会として、個展「PAGUROIDEA」(Tezukayama Gallery/大阪、2024)、「周縁と方法」(五台山竹林寺/高知、2017)、「LOOP」(ASYL/大阪、2014)。グループ展に「SPR」(FINCH ARTS/京都、2020)、「paint( )ings」(Yutaka Kikutake Gallery/東京、2018)、「織り目の在りか 現代美術 in 一宮」(旧林家/愛知、2018)等。

館勝生 >>
1964年三重県生まれ。1987年大阪芸術大学卒業。1994年現代美術の展望VOCA展奨励賞。2009年逝去。
近年の主な展覧会として、個展「館勝生 2008」(Yoshimi Arts/大阪、2024)、「館 勝生 展」(ギャラリー白/大阪、2018)。グループ展に「美術館のコレクション(2024年度第2期展示)」(三重県立美術館、2024)、「ニッポンの油絵 近現代美術をかたち作ったもの」(和歌山県立近代美術館、2022)、「ニュー・ウェイブ 現代美術の80年代」(国立国際美術館/大阪、2018)等。

西山美なコ >>
1965年兵庫県生まれ・在住。京都市立芸術大学大学院美術研究科彫刻専攻 修了。
近年の主な展覧会として、個展「MINAKO NISHIYAMA / boudoir...」(Yoshimi Arts/大阪、2021)、「西山美なコ 90's ★キラキラおめめ★」(Yoshimi Arts、2018)。グループ展に「コレクション1 80/90/00/10」(国立国際美術館/大阪、2023)、「2023年コレクション展Ⅰ 《特集1》虚実のあわい」(兵庫県立美術館/兵庫、2023)、「フェミニズムズ / FEMINISMS」(金沢21世紀美術館/石川、2021)等。

矢野知道人
矢野橋村の別号。 1890年愛媛県生まれ。大阪市民文化賞、第17回日本芸術院賞。1965年逝去。
近年出品の展覧会として「大阪の日本画」(大阪中之島美術館、2023)等。

山本志帆 >>
1982年岐阜県生まれ、現在広島県在住。広島市立大学大学院芸術学研究科絵画専攻 修了。
近年の主な展覧会として、個展「山をくずして」(Yoshimi Arts/大阪、2023)、「Gセレクション 山本志帆 個展 山をくずして」(gallery G、2022)。グループ展に「L×Sunmall Art Space Project #6 #7」(SUNMALL/広島、2023)、「砂洲に立つ」(広島芸術センター/広島、2022)等。