この度、Yoshimi Artsは、寺林武洋の個展「NIZAYAMA」を開催致します。

昨年10月から今年3月まで富山県下新川郡入善町・下山芸術の森 発電所美術館で行われた個展「寺林武洋展 －LIFE－」において、住まいの広島から美術館まで通い、美術館内の風景を延べ50日滞在して描いた作品《1925− (1995−)》を展示致します。作品タイトルの数字は、発電所として建てられた年と、美術館に改装された年を表しています。本展では、この滞在制作した作品の他に、発電所美術館に出品した作品の中から寺林自身が選んだ作品と、最新作も加えて構成する予定です。

現在多くの作家が作品の制作にあたって写真などメディアを活用していますが、寺林は一貫して対象の前に立ち、自身の眼を通し作品を描いており、作品制作に費やす大半の時間を対象の前で過ごしています。現代の殆どの人が、物や事をネットで見る世の中において、物は二次元的に、事は平坦な情報として見られていると言っても良いかもしれません。しかし、寺林は、大学でデザインを学んだこともあり、機械がモノを認識するよりも目で見る方が論理的に優れている事を理解しており、あくまでも物を見る事へのこだわりを持ち作品を制作しています。

また、モチーフを選択するときに特別な感情が湧き、描きたいとリアルに思うと、寺林は言います。それは彼の作品全てを言い表していて、毎日見ている家の中の取るに足らないものを描きたいという感情こそが作品を成り立たせています。

今回の滞在制作においても上記の姿勢で臨み、その制作姿勢を多数の地元のテレビや新聞、美術雑誌が取り上げ、多くの鑑賞者から好評を得ました。下山（NIZAYAMA）での個展の成果を本展でご覧いただけると思います。

是非、この機会にご高覧下さいませ。